周囲で読んでいる人が多かったので、ちょこちょこ「怖い」「重い」「しんどい」なんていう感想を聞いてました。元々救いようのないストーリーが好きなので、ワクワク。
主な主人公は女教師森口悠子、彼女の語りから物語が始まります。その後に、森口の娘に手をかけた少年A、少年B、少年の母親、少年の姉、委員長を務める生徒の語りで構成されていて、同じ出来事をそれぞれが自分の視点からひとり語りをしています。
まるで読者に、クロスワードパズルを解かせるような感じで進んでいくのですが、謎を残さないので、ページを行ったり来たりする必要はありませんでした。登場人物たちは、さまざまに歪んだ視点を持ちながら、全部を包み隠さず語ります。
期待って言うわけではないんやけど、もう少しガッツリヘコむかなぁと思っとったのね。でもそんなことはなくて、実家に帰るまでの3時間半ぐらいでサクッと読めちゃいました。決してサクッと読める内容ではないんやけど、どうしてだろうね。1章にひとりという構成なので、入り込みやすかったのかも。
映画では、森口役と松たか子が演じます。何度か舞台で見かけたことがあるけど、お芝居が好きなんだろうなぁ、と思わせる演技で、今回の森口役はハマっとると思う。そのほか気になっているのは、少年の母親役が木村佳乃というところかな。木村佳乃は「夜行の階段」で狂っていく女を演じきっているので、狂気じみた母親役はピッタリだと思う。個々に楽しみな部分はあるものの、小説上でも「ちょっとおかしいな?」とつじつまが合わない部分があったので、映画ではもっと厳しいんじゃないかな。映画化されることで、相違を隠すことができる可能性もあるけど、そのほかの部分で帳尻が合わなくなりそうな予感。
ちなみに精神的に追い詰められるという意味では、野沢尚作品に勝るものはないと思っています。「告白」が好きな人、ちょっと物足りなかったなぁなんて人におすすめ。
最近、原作があるものの映画化の話ばっかりしとる気がする……。
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必読の書
ワクワクするぐらい期待させるが、やや出来すぎの感じも・・・
野沢尚らしい濃く深い闇
ぜひ映像化を
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