表紙のイメージからダウナーな感じかなと予想しとったんやけど、思っていた以上に複雑なストーリーで何度かページを戻しながら完読しました。
現在は夜行列車の中、小説家の浜崎正は自分の過去の出来事を原稿に書いている。メインの舞台は過去、浜崎は大学生でお花見で出逢った町田ミカと恋に落ちる。彼女は浜崎が絶賛する映画ヒロイン「桐島すみれ」にそっくり。ただ、彼女は町田ミカであり、桐島すみれではないはずなのだが……。過去に映画のシーンが挿入され、現実と虚構の区別が付きづらくなり始める。
現在と過去と映画が入り交じって一体どれが本当なのか混乱した。ただ、過去がなければ、現在もない。つまり、浜崎は過去のことを書き留めることで現在に生きることができるのだ。浜崎自身もそのことをわかっているようで、まるで日記のように小説を書いていく。最終的に、過去が現在に追いついて、1本の線に繋がり、現在の浜崎がミカに会いに行く。
結局過去が本当か嘘かはわからないんやけど「記憶」ってそれぐらい曖昧なものなのかもしれないなと思った。いい意味でも悪い意味でも人はどんどん忘れる生き物だから、記憶なんて作り物みたいに事実と違うように残されたりする。それでも生きていないと過去をなくすことは現在もなくすことと同じだから、人は記憶を記録し続けるんじゃないかな。
落ちることを想定しとったんやけど、未来を感じられるマンガでした。
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