元々原作がおもしろい上に、演出、出演者共に期待大。中井貴一、西岡徳馬……、出演者要注目ということでものすごく見たかったんやけど、チケットが完売で一度は諦めたものの、ラッキィなことにチケットを手に入れられたのでウキウキ観劇しました。
蒸し暑い夏の午後、父親殺しの罪で一人の少年が裁かれようとしていた。審理は終わり、いまや少年の運命は、事件のために無作為に選ばれた12人の男たち=陪審員に委ねられている。提出された証拠と証言は、少年に不利なものばかり。劣悪な環境で育った少年には逮捕歴もあり、陪審員の多くは有罪を確信していた。陪審員室に移った12人は、予備投票を行う。有罪11票、無罪1票。唯一の無罪票は陪審員8号によるものだ。室内に満ちる苛立ち。周囲の敵意に怯むことなく、8号は陪審員の責務の重さと審理への疑問点を語り、討論は白熱していく。裁かれるのは誰か、そして判決の行方は……。
言葉もでないとはこのこと。素晴らしい舞台でした。超有名な脚本、世界的に名を馳せている演出家蜷川幸雄、キャストは中井貴一や西岡徳馬などこれでもかと言うぐらい味のある、アクの強い俳優ばかり。元々は映画だった作品で、三谷幸喜が「十二人の優しい日本人」として、映画、舞台化している。映画は両方見たけど、舞台は見られなかったので、蜷川演出ではないこの作品を見てみたいな。
12人全員がまるでプロトタイプで分けたようにかぶらない個性を持っていて、全員一致の判決なんてできるんだろうかというところからスタート。ただ、キーマンとなる陪審員第八号(中井貴一)がそれぞれの個性に訴えかけて、考えを覆させていく様子は「すごい」と同時に「怖い」と感じた。魔術みたいなんやもん。最終的に陪審員第三号(西岡徳馬)との一騎打ちみたいな構図になり、ここからがこの舞台の見せ場。息をのんで、ステージから一瞬たりとも目を離せなかった。
途中から舞台じゃなくて、まるで日常生活を覗いているような気持ちになってきていて、変な錯覚を起こした。だって、出演者全員が自然体過ぎるし、とてもじゃないけど「演じている」とは思えなかったんやもん。たとえば舞台ではたまに見かける台詞を噛んじゃったときに「もしかしてこの人は舌足らずでいつもこの言葉を言えないのかもしれない」とか、何かにぶつかってよろめいたときは「前しか見えてないぐらい集中してしまうことあるなぁ」と思わせた。
日本でも陪審員制度が導入された今年、いままでとは違った感覚でもっと身近に感じられた。人間の葛藤がまざまざと感じられて、自分がもし陪審員に選ばれたら公平な判断ができるんやろうかと不安になる。このタイミングでこの舞台を演出する蜷川さんはやっぱりさすがとしか言いようがないな。
何を持ってよしとするかは別にして、私がいままで観劇した舞台の中で一番よかったと言っても過言ではないぐらい素晴らしい舞台でした。
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すばらしい!
ただの話し合いなんですがおもしろいです。
日本の裁判員制度導入のテキストに
とにかく面白い
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